Data Acquisition Toolbox は MATLAB/Sinulink にデータを取り込んだり、出力するためにのみ設計されており、制御分野におけるリアルタイム性をサポートするものではありません。これは、Data Acquisition Toolbox が動作する MATLAB 本体が非リアルタイム OS である Microsoft Windows や Linux 環境で動作するためです。リアルタイム性が要求される場合は Simulink Real-Time や Simulink Desktop Real-Time など、リアルタイム OS やそれに準ずる動作を提供するツールをご利用ください。
Simulink Real-Time:
Simulink Desktop Real-Time:
これらの製品はリアルタイム制御を目的に設計されております。
なお、厳密なリアルタイム性が求められないのであれば、 Data Acquisition Toolbox を使用した1点ずつのデータ計測および制御信号の出力が可能ですが、前述のとおり、ツールの目的が異なるためお勧めではありません。
実際に Data Acquisition Toolbox を使用する場合、計測データは以下のようなステップでMATLAB環境に取り込まれます。
1. データがデバイスにより計測され、ハードウェアに保存されます。
2. データが Data Acquisition Toolbox エンジンに取り込まれます。
3. データが MATLAB 環境で使用可能になります。
4. データが MATLAB 上での制御アルゴリズムで処理され、制御信号が出力されます。
5. 制御対象の状態をデータとして計測します。
MATLAB および Data Acquisition Toolbox は非リアルタイム環境で動作しているため、上記のステップによる処理より優先順位の高い処理が入った場合、その処理が割り込みで実行されるため、上記ステップが等間隔で実施されません。フィードバック制御で非常に重要なリアルタイムによる制御信号の出力や制御対象の状態の計測等ができません。
